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2010年1月

6. 住宅用火災警報器設置促進に向けて〔千葉、能代〕

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千葉県婦⼈防⽕クラブ連絡協議会
会⻑ ⽵内久⼦


「わが家に安⼼を」講演会
 平成21年10⽉に主催者(千葉県鎌ケ⾕市消防本部)からの依頼を 受け、同市⽣涯学習センターにおいて「わが家に安⼼を」と題して、住 宅⽤⽕災警報器(以下、「住警器」)の普及促進等について、筆者が ⾏った講演内容の要旨をご紹介します。

1.法制化とその背景
 住警器については、去る平成15年12⽉に内閣府消防審議会が政府 に対して消防法⼀部改正案を答申し、これを受けてこの設置法案が第 159通常国会において可決成⽴し、平成16年6⽉2⽇に総務省消防 庁より公布されました。
 これは、住宅⽕災により焼死した⾼齢者数が17年振りに1千⼈を超 え、平成15年には、1,070⼈という最悪な事態に⾄ったことがこ の法制化の背景といわれています。欧⽶では、住警器取り付けの義務化 により焼死や数が3分の1程度に減少したと聞いております。⼀⽅、わが国でも平成18年6⽉か ら、新築住宅については法律上、その設置が義務付けられた(既存住宅については当該市町村の条例 に委任された)ことによりその成果が期待されております。

2.住警器の普及状況
 消防法改正以来、住警器の普及促進については、各消防機関⼀丸となって取り組みがみられます。 わたくしたち婦⼈防⽕クラブも共同購⼊に⼒を⼊れて取り組んできたところです。しかし、平成21 年3⽉時点でのその普及率(全国平均)は、41.6%に⽌まっており、義務化された地域において 52.4%に過ぎない状況にあります(総務省消防庁調べ)。
 平成23年6⽉1⽇までには、全国のすべての既存住宅について住警器の設置が義務付けられてお り、その実現に向け、国⺠⼀⼈ひとりがその趣旨と必要性を理解し、住警器の設置を促進することは 喫緊の国⺠的課題であるといえます。


講演を⾏う⽵内会⻑
3.住警器の普及促進策
①共同購⼊の実施
 わたくしたち婦⼈防⽕クラブ員は共同購⼊斡旋事業に⼒を ⼊れ、⾃治会等を通して住警器の普及促進に向けて取り組ん でいます。住警器の奏効事例や必要性を知った⽅々は予想し た以上に理解を⽰して頂いております。しかし、普及率はま だまだですので根気よく広報活動を続けているところです。
これまで以上に効果的に共同購⼊を実施するためには、地 域の⾃治会をはじめ、⾃主防災組織、消防団、婦⼈防⽕クラ ブ、社会福祉団体等あらゆる関係団体等との連携を密に共同 購⼊を実施することにより普及促進を図るべきです。
②⽀援措置の活⽤
 低所得者世帯や社会福祉施設には、現物給付または購⼊費の⼀部助成する制度がありますが、この 制度は必ずしも⼗分周知されているとはいえない向きもあります。前述の関係機関、団体と連携し、 特に低所得者世帯への周知を徹底する必要があります。
③住警器の効⽤(奏効事例)についての広報
 平成20年3⽉から12⽉までの9ヶ⽉間の総務省消防庁に全国から寄せられた奏効事例は実に 119件にも及びます。
 買物から帰宅した男性が、気がつくと、⾃宅の住警器が作動しており、あわや⽕災発⽣となる⼀歩 ⼿前で初期消⽕に成功した事例はその⼀例です。
 ちなみに千葉市では、平成18年6⽉から平成21年2⽉までの住警器の奏効事例は、⽕災17 件、非⽕災報20件に及んでおります。
 これらの奏効事例を⽿にすると、その設置効果はなおいっそう⾼く評価され、改めて住警器の効⽤ について広報の必要性が痛感されます。
④国⺠運動としての展開
 住警器の早期普及を住宅防⽕対策の「切り札」とし、総務省消防庁は、「消防機関に限らずあらゆ る主体が総⼒を結集し、国⺠運動的に取り組む必要性がある。」としていますが、このことは「消防 ⾏政の最重要課題の⼀つ」とする従来の位置づけより⼀歩踏み込んで、消防に限らず社会全体の課題 とし、「国⺠運動」としての更なる展開が求められております。

4.その他
 これまでは、住警器の設置が住宅⽕災を⾷い⽌めるために如何に⼤切なものであるかについてです が、このほか⾃然災害への対応について以下の事項についてお話しました。

「住宅⽕災の予防のために住警器は⽋かせません」
(1)平常時の防災対策
 安⼼で安全な暮らしを守るために必要なこととして、①地域でのコミュニケーションの重要性 ② 災害要援護者の把握と連携の強化など。
(2)発災時の対応
 まず、「⾃分⾃⾝の命を守ること。」のほかに、① 家族や地域の⼈たちを守ること。 ②地域防災⼒の連 携強化 ③被災状況についての情報提供 ④住⺠の避 難先の確保など。
(3)⾃然災害からの教訓
 これまでに発⽣した主な⾃然災害として、北海道南 ⻄沖地震による奥尻島の津波災害、阪神淡路⼤震災、 新潟県中越地震、千葉県北⻄部を震源とする地震及び インドネシア、ジャワ島中部地震を採りあげ、筆者が 訪れた被災地の実情や⼈的⽀援の実例、発災直後の問題点、災害から学ぶものなど。

5.おわりに
 筆者は、さきに千葉市で開催された消防庁主催のシンポジウムではパネラーとして参画し、あるい は、各種講演会などを通して住警器の必要性を訴えてまいりました。
今回の講演会におきましても住宅⽕災の予防のため住警器や防炎品は⽋かせないものであることを 強調しました。最後は、ビデオ学習を交えながら、参加者の皆さんと意⾒交換を⾏い、無事講演会を 終えることができました。
 冬将軍の到来により暖房器具の使⽤が多い時期でもあります。万が⼀のとき、住宅⽕災から⽣命と 財産を守ってくれる住警器は、住宅⽕災ゼロを目指す「わが家の守護神」となるものと確信しており ます。
 このたびの講演会を主催いただきました千葉県鎌ケ⾕市消防本部の皆さんと終始熱⼼にご清聴いた だきました幼年消防クラブの指導者、婦⼈防⽕クラブ員、⾃治会連合協議会安全対策委員、⼀般市⺠ の皆様に改めて感謝申し上げます。

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秋⽥県 能代⼭本広域市町村圏組合消防本部


宅⽤⽕災警報器の必要性を説明
能代市婦⼈防⽕クラブ連合委員会は発⾜して今年で24年 目を迎え、現在クラブ員は391名で活動をしています。 「家庭からは絶対に⽕を出さない」を目標に、各種研修会や 訓練等へ積極的に参加し、⽕災予防啓蒙活動を続けていま す。 秋の⽕災予防運動期間中には、(財)⽇本防⽕協会より助成 をいただき「住宅⽤⽕災警報器(住警器)設置促進研修会」 を開催しました。 研修会の目的は、クラブ員が「住警器の重要性」を認識 し、地域の⼈たちよりも早く設置をしていただき、また、既 に設置済のクラブ員については、「住警器の必要性」を地域の⼈たちへ広報していただこうと企画し たものです。
婦⼈防⽕クラブ員が聴講
研修会では能代⼭本広域市町村圏組合消防本部職員より、 「⼈⼝10万⼈当たりの⽕災による死者発⽣率が全国は1. 58であるのに対し、私たちの地区は5.4と全国を⼤きく 上回っている」「国では住宅防⽕対策の切札である住警器が 最も重要であると位置づけ、国⺠運動的に進めている」など と講義を受けました。 住警器の推計普及率は全国が41.6%(平成21年3⽉ 現在)に対し、当地区は25.8%(平成21年10⽉末現 在)と全国⽔準には未だおよばず「なぜ普及率が伸び悩んで いるのか」「これからいかにして普及率を上げていくか」な どが検討され、そのなかで住警器を共同購⼊したことにより、①安く購⼊できた ②不適切な価格の 販売業者から⼀⼈暮らし⾼齢者を守ることに繋がった ③⾃治会で取り付けてくれたなどといったこ とで普及率を⼤幅に伸ばした地区の紹介がされ参考となりました。 この⽇、クラブ員は住警器に対し知識を深めるとともに、⽕災から逃げ遅れを防ぐ住警器の役割を 再確認しました。

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