消防庁長官 河野 栄氏
平成22年の新春を迎えるに当たり、全国の消防関係者の皆様に謹んで
年頭のご挨拶を申し上げますとともに、⽇頃のご尽⼒に対し⼼から敬意を
表し、深く感謝申し上げます。
我が国の消防は、関係各位のたゆまぬ努⼒の積み重ねにより、国⺠の安
⼼・安全の確保に⼤きな役割を果たすとともに、昨年9⽉のインドネシア
⻄スマトラ州パダン沖地震災害での国際消防救助隊の活躍などにより、海
外において⾼い評価を得ております。
しかしながら、昨年は、4⽉の北朝鮮によるミサイル発射事案の発⽣、
新型インフルエンザ(H1N1型)の感染拡⼤、7⽉から8⽉にかけては中
国・九州北部豪⾬や台風第9号、駿河湾を震源とする地震等のさまざまな
災害が相次いで発⽣し、各地に⼤きな被害をもたらしました。
また、3⽉の群⾺県渋川市での⽼⼈ホーム⽕災や⼤阪市此花区パチンコ店⽕災、11⽉の浜松市の
⿇雀店⽕災、杉並区⾼円寺での⽕災など多くの死傷者を伴った⽕災はいまなお記憶に新しいところで
す。
このように、相次いで発⽣する⾃然災害や地域社会の変化による災害の複雑多様化、新型インフル
エンザへの対応など、消防防災⾏政を取り巻く状況は、⼤きく変化しており、国⺠の安⼼・安全を維
持向上させていくためには、総合的な消防防災⾏政を積極的に推進していく必要があります。
このため、消防の広域化や緊急消防援助隊の充実強化など消防組織における体制の強化とともに、
医療機関との連携を⼀層推進する必要があります。また、併せて⼀般家庭における住宅⽤⽕災警報器
の設置の推進や⺠間事業所における⾃衛消防⼒の確保、消防団や⾃主防災組織などの地域における総
合的な防災⼒の強化にも積極的に取り組む必要があります。
そのため、昨年4⽉には、傷病者の搬送及び受⼊れの迅速かつ適切な実施を図るため、救急搬送・
受⼊れに関する実施基準について協議等を⾏うための協議会の設置等を内容とする消防法の⼀部改正
を⾏いました。また、平成21年度補正予算により、緊急消防援助隊の装備や救急体制の充実強化、
住宅⽤⽕災警報器や消防団救助資機材搭載型⾞両の配備等の事業を推進しています。
皆様⽅におかれましては、我が国の消防防災・危機管理体制の更なる発展と、国⺠が安⼼して暮ら
せる安全な地域づくりのために、より⼀層の御⽀援と御協⼒をいただきますようお願い申し上げま
す。
皆様⽅のますますのご健勝とご発展を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。