総務省消防庁では、全国の救急業務及び救助業務の実施状況等の調査を毎年実施しており、今般、その調査結果を「平成２１年救急・救助の概要（速報）」として発表しました。
１ 救急出動件数、搬送人員ともに増加
平成21 年中の救急自動車の出動件数は、前年に比べて約2 万5 千件増加（0.5％）し、約512 万件でした。また、搬送人員は、前年に比べて約4 千人増加（0.1％）の約468 万人となりました。
- 救急自動車の出動件数及び搬送人員はそれぞれ512 万2,191 件（対前年比2 万5,097 件、0.5％増）、468 万2,960 人（同4,324 人、0.1%増）でした。
昨年発生した新型インフルエンザ感染疑い患者に係る救急出動件数は1万6,728 件、救急搬送人員は1 万7,352 人となっており、この影響を除くと、前年と比べて救急出動件数は微増、救急搬送人員は減少となります。 - 救急自動車は6.2 秒（前年6.2 秒）に１回の割合で出動しており、国民の27 人（前年27 人）に１人が搬送されたことになります。
- 現場到着までの時間は全国平均で7.9 分（前年7.7 分）、病院収容までの時間は全国平均で36.1 分（前年35.0 分）となっています。
２ 救急体制の充実と救急業務の高度化は着実に進展
救急業務に従事している救急救命士は平成22 年４月現在で21，023 人と年々増加し、救急救命士が行う「器具による気道確保」、「除細動」、「静脈路確保、「薬剤投与」等の救急救命処置内容・件数も充実してきています。
- 器具による気道確保、除細動、静脈路確保及び平成18 年４月より実施可能となった薬剤投与といった救急救命士が救急救命士法に基づいて行う救命処置件数も合計で97,171 件にのぼり、対前年比4.7％増となっています。
３ 搬送人員の50.8％が入院加療を必要としない傷病者
平成21 年中の救急搬送人員を傷病程度別割合で見ると、「軽症」(50.7％)及び「その他」(0.1％)が50.8％と年々減少しているが、過半を占めています。
- 平成21 年中の救急自動車による搬送人員468 万2,960 人のうち、死亡・重症・中等症の割合は全体の49.2％、入院加療を必要としない軽症傷病者(50.7％)及びその他(0.1％)の割合は合計で50.8％となっている。
４ バイスタンダーによる応急手当件数の割合は過去最高
消防機関の実施する応急手当普及講習の修了者数は、平成21 年中は約157万人が修了し、実際に救急搬送の対象となった心肺機能停止症例の約42.8％において、バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)により応急手当（胸骨圧迫（心臓マッサージ）・人工呼吸・ＡＥＤ（自動体外式除細動器）による除細動）が実施されています。
- 応急手当普及講習の修了者数は、156 万6，188 人となり、国民の82 人に1 人が受講したこととなります。（前年は79 人に1 人）
- 市民による応急手当が実施された傷病者数は、全国の救急隊が搬送した心肺機能停止傷病者数の42.8％（前年は40.7％）にあたる48,854 人に及んでいます。
５ 心肺機能停止傷病者の1 か月後の生存率及び社会復帰率は年々上昇
平成21 年中に救急搬送された心肺機能停止傷病者のうち、心原性かつ一般市民により目撃のあった症例の１か月後の生存率及び社会復帰率は年々上昇しています。
- 平成21 年中に救急搬送された心肺機能停止傷病者のうち、心原性かつ一般市民により目撃のあった症例の１か月後生存率は、11.4％と過去5 か年のうち最も高く、平成17 年中と比べ、4.2 ポイント上昇となっています。
また、１か月後社会復帰率についても、7.1％と過去5 か年のうち最も高く、平成17 年中と比べ、3.8 ポイント上昇となっています。
６ 交通事故による救助出動件数、建物等による事故の救助活動件数がそれぞれ第１位
平成21 年中の救助出動件数は、8 万1,567 件（前年比13 件増）、救助活動件数は、5 万3,114 件（前年比181 件減）となっています。
- 平成21 年中の救助出動件数（救助隊が出動した件数）は、全体で8 万1,567 件であり、交通事故によるものが2 万8,555 件（全体の35.0%）で昭和55 年以降、第１位の出動原因となっています。
- 一方、救助活動件数（救助隊が実際に活動した件数）は、全体で5 万3,114件であり、建物等による事故が1 万7,212 件（全体の32.4%）で、平成20 年以降、第１位の活動種別となっています。
７ 消防防災ヘリコプターによる救急出動件数が過去最高
消防防災ヘリコプターによる救急出動件数は年々増加し、平成21 年中は過去最多の3,754 件となりました。
- 平成21 年中の消防防災ヘリコプターによる全出動件数は7,165 件であり、そのうち救急による出動件数が3,754 件（全体の52.4％、対前年比478件増）と過去最多を記録しました。
