「平成29年度婦人防火研修会」の開催
会長 竹内 久子
千葉県少年婦人防火委員会 石橋毅会長
大寒が過ぎた平成30年1月24日(水)、千葉県消防学校講堂に県下各地から防火クラブ員をはじめ消防防災関係者多数のご参集をいただき、「平成29年度婦人防火研修会」が開催されました。
恒例となりました当研修会は、昭和61年に開催以来、回を重ねること、今年で32回目を迎えることになりました。これも偏に、千葉県消防・防災関係者皆様方のご協力の賜と心より感謝申し上げます。
主催は、千葉県少年婦人防火委員会および千葉県婦人防火クラブ連絡協議会、また、共催は(一財)日本防火・防災協会です。
はじめに、開会に当たり、主催者を代表し、千葉県少年婦人防火委員会の石橋毅会長と千葉県婦人防火クラブ連絡協議会の竹内久子会長からごあいさつを申し上げ、
次いで、来賓の県消防学校副校長 亀山俊一様のご紹介に続き、日本防火・防災協会会長 秋本敏文様からの祝電が披露されました。
午前中は、千葉県婦人防火クラブ連絡協議会長である私から「住宅防火対策について」と題して講話をいたしました。
1 「平成29年版消防白書」について
千葉県婦人防火クラブ連絡協議会 竹内久子会長
- 火災総出火件数は36,831件(前年比2,280件減)
- そのうち住宅火災による死者数は885人(放火・自殺者を除く)(前年比29人減)いずれも若干減少がみられますが、依然として深刻な事態に変わりがありません。
- 全国の出火状況をみますと、1日当たり100件を超える多くの火災が発生しておりますが、その出火原因をみると
第1位 放火 3,586件(9.7%)
第2位 たばこ 3,483件(9.5%)
第3位 コンロ 3,136件(8.5%)
第4位 放火の疑い2,228件(6.6%)
第5位 たき火 2,124件(5.8%)
と順位は例年と変わりない状況です。因みに、放火と放火の疑いを合わせると5,814件(15.8%)で20年連続第1位を占めております。
家屋の周りに燃えやすいものを置かないよう留意するとともに防炎カバーを活用するなどにより放火防止を図る必要があります。
2 住宅用火災警報器(以下「住警器」)について
(1) 住警器の設置率等
- ① 住警器の全国平均設置率は81.7%・全国条例適合率は66.4%(平成29年6月1日現在・総務省消防庁調査)
- ②千葉県の平均設置率77.6%は全国平均に及ばず全国順位は32位、条例適合率60.3%は全国順位36位(千葉市は90%、条例適合率81%)
(2)奏効事例
奏効事例は平成18年から24年までに消防庁に報告があったものだけでも、8,603件を数える。
住警器の奏効事例はこれらのほかにも数限りないが、焼死者を抑制する効果は以下のとおり。
- ① 火災の早期発見・早期対応
- ② 初期消火による対応が可能
- ③ 逃げ遅れを防ぐ
- ④ 警報音により隣人・周囲の人から手助けが可能
- ⑤ 警報音により睡眠から覚醒させる
3 いのちを守る住宅防火対策(7つのポイント)
- (1)逃げ遅れを防ぐために「住警器」を設置する。
- (2)寝具、衣類およびカーテンからの火災を防ぐため防炎品を使用する。
- (3)火災を小さいうちに消すために住宅用消火器等を設置する。
- (4)お年寄りや身体の不自由な人を守るために隣近所の協力体制を確立する。
- (5)寝たばこは絶対にやめる。
- (6)ストーブは燃えやすいものから離れた位置で使用する。
- (7)ガスコンロ等のそばを離れる時は必ず火を消す。
終わりに、婦人(女性)防火クラブ員、自主防災組織、消防防災関係者が一丸となって、住警器や防炎品の普及促進、住警器のメンテナンスになお一層のご尽力いただくようお願いしました。
続いて、松戸市三村新町女性防火クラブ加藤よし子会長から活動内容の発表がありました。
松戸市三村新町女性防火クラブ
加藤よし子会長
(1)松戸市の現況(2)同市幼少年女性防火委員会の組織(3)同市女性防火クラブの組織(4)三村新町女性防火クラブの紹介に続き、(5)活動の内容として、
①散水栓消火訓練、②委員会研修会、③住宅防火・防災キャンペーン、④防火・防災フェステバル、
⑤春季・秋季火災予防運動、⑥街頭キャンペーン、⑦ひとり暮らしの高齢者宅の防火診断、⑧市総合防災訓練、⑨町会防災訓練、
⑩年末年始地域巡ら広報、⑪市消防出初式、⑫婦人防火研修会等を通しクラブ員一致協力のもと報告がありました。
午後からの講演会は、千葉県防災士会副理事長・元銚子気象台次長の矢野良明氏による『気象と防災』~怖い気象災害から身を守るために~と題してパワーポイントを駆使しながらご講演を頂きました。
(1) 大雨(豪雨)から身を守るために
- 過去51年間に観測された千葉県で起きた最大1時間降水量50ミリ以上の大雨(豪雨)は10回も記録されている。
- 平成20年に神戸市を襲った大雨で16人が流され、5人が死亡。流れのある水の恐ろしさを知るべき。
(2)外出時に気象情報がない場合
- 真っ黒い雲の接近、周囲が急に暗くなる、雷鳴・雷光・冷風が吹き出す、大粒の雨・雹が降りだすなどの現象に気づいたときは特に注意が必要。 なお、雷を避けるため木の枝や幹から2~3メートルは離れる。
(3)各種「降水情報」の活用
- 「高解像度降水ナウキャスト」、「危険度分布」、「大雨警報(浸水害)の危険度分布」および「線状降水帯」等気象庁のホームページによる降水情報を活用すべき。
(4)竜巻災害
- 「竜巻注意情報」が発令されたときは、まずは空の様子に注意。積乱雲が近づく兆しを感じたら直ちに身の安全を確保する。
竜巻の接近に気づいたとき、屋内にいる場合は、家の中心部に近い窓のない部屋に移動する。また、屋外にいる場合は、近くの丈夫な建物に避難する。
(5)強風下での火災の恐ろしさ
- 平成28年12月ラーメン店から出火した火災は「糸魚川市駅北大火」に拡大し、強風下での火災の恐ろしさを思い知らされた。
強風についての気象情報にも十分注意してほしい。
(6)おわりに
- 災害は人生を変えてしまうほど情け容赦ないもの。私たちの努力により「減災」は可能。いざという時、被害を減らし、
「自分の身は自分で守る」ためにも、日頃の備えが何よりも大切である。
会場の様子
千葉県防災士会副理事長 矢野良明氏
さて、皆さんはどうすればいいか。この研修を機会に皆さんで議論してみてください。研修終了後、参加者からは、
- 奏効事例を聴いて改めて住警器や防炎品の大切さを痛感した。
- 松戸市三村新町女性防火クラブの活動は参考にしたい。
- 大雨(豪雨)や局地的大雨の怖さを再認識した。
- テレビや気象庁のホームページなどの気象情報に注意し、気象災害から身を守る備えをする必要性を思い知らされた。
- 矢野先生の講義はユーモアに富んだ名講義で、気象学の専門知識について実験を交え、分かりやすく解説していただき終始楽しく実のある勉強ができた。などの感想が寄せられました。
参加者は終始熱心にご聴講頂き、平成29年度千葉県婦人防火研修会は盛会裏に終了することができました。
終わりに開催にあたりご協力いただきました日本防火・防災協会、千葉県消防協会、千葉県消防学校およびご参加いただきました皆様に心から感謝申し上げます。