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2010年9月

4.住警器共同購入等の事例紹介 ~第2回~

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 コミュニティの積極的な普及促進活動により、住警器の設置が比較的に進んでいる地域においても、賃貸物件への設置は大きな課題となっています。
 今回は、賃貸物件オーナーから委託を受け、賃貸物件を管理している不動産業者の協同組合が積極的に共同購入を推進し、設置数を大きく伸ばしている事例を紹介します。

(総務省消防庁「消防の動き 2010年8月号」より)

(1)地域・取組み主体の概要

 千葉市宅地建物取引業協同組合は、千葉市内で営業を行う不動産業者約70社で構成する協同組合である。

(2)共同購入の取組概要

 民営賃貸住宅への設置が難航する中、同組合では、「火災が発生した際に、入居者の生命を守る」という目的の他、「賃貸物件のオーナーが、自らの資産である物件を火災から守る」といった背景からも住警器設置が重要な点を賃貸物件オーナーに説明し、オーナーによる設置の普及促進を図ってきた。 設置においては、賃貸物件を管理する不動産業者が、取付支援や集金業務を行うことで効率的に進められるよう配慮され、平成22年2月までに、計2万2千個以上の設置を行っている。


取組主体:

人数等:
消防署等:
職員数:
地域:
人口/世帯数:
キーワード:
千葉市宅地建物取引業協同組合
約70社
千葉市消防局
942人
千葉県千葉市(政令市)
924,319人/369,571世帯
●広報・周知(セミナー)
●必要数確認の工夫
●共同購入
●集金方法の工夫
●設置支援
●設置確認(設置済ステッカー、図面・写真等提出)
普及期
平成19年7月
賃貸物件オーナーを対象としたセミナーを実施
工夫点
①賃貸物件オーナーへ向けた情報提供・意識啓発
展開期
平成19年8月
共同購入の斡旋を開始
工夫点
②共同購入による住警器の安価な提供
③図面による住警器設置個数の把握
④希望者への取付支援
⑤賃料からのスムーズな購入代金集金
⑥住警器の設置済シールの配布

(3)工夫点の紹介

工夫点①:賃貸物件オーナーへ向けた情報提供・意識啓発
●実施内容
 賃貸物件オーナーへ共同購入の案内を進めるに当たり、平成19年7月、協同組合に加盟している企業が主体となり、住警器設置義務化に関するセミナーを開催。セミナーでは弁護士を招き、貸主や管理会社が負う管理責任に関する講義が行われた。賃貸物件オーナー、協同組合に加盟している不動産業者、約200名が参加した。
●ポイント
 住警器の普及促進活動において、購入代金を負担する関係者に対する情報提供・意識啓発は、設置数増加のためには非常に重要な取組となる。この紹介事例におけるセミナーでは、次の点についての情報提供・意識啓発が行われており、この後に続く共同購入の推進につながった。
(セミナーにおける講義のポイント)

  • 火災発生自体は賃貸物件オーナーの責任ではないが、住警器があれば被害が軽微で済んだと判断されるようなケースでは、その責任を問われる可能性がある。

  • 住警器普及が進むことによって、住宅火災の死亡者の大幅な低下が期待できる。

 また、取組の主体となった協同組合において「賃貸物件のオーナーが、自らの資産である物件を火災から守るためにも、住警器設置は重要な取組である」との認識を持って活動に当たった点も、取組の成功要因である。

工夫点②:共同購入による住警器の安価な提供
●実施内容
 協同組合に加盟している企業が中心となり、賃貸物件のオーナーへ向けて、共同購入による住警器の安価な提供を実施した。
●ポイント
 購入価格については、他の事例と同様、取りまとめて大量購入を行うことにより、1台あたりの購入価格を抑えている。
 また、賃貸物件オーナーが購入したこの事例では、賃貸物件の借主に対しては住警器を「貸している」という位置付けで設置を進める、といった工夫も図られている。具体的な対応としては、設置時に、住警器は貸主の所有物であることを確認する旨を記した「設置確認書」を、借主とオーナー・不動産業者間で結んでいる。これにより、転居等により住警器が無くなる、補充が必要になる、といったトラブルを避けることにつながる。

工夫点③:図面による住警器設置個数の把握
●実施内容
 物件ごとの必要設置個数を把握するため、不動産業者で把握している間取り図をもとに、それぞれの物件に必要となる住警器の数を把握した。また、間取り図は前述の「設置確認書」にも掲示し、設置個数の記録としても活用している。
●ポイント
 共同購入において、各戸の必要設置個数の見積りは大きな課題のひとつといえるが、この事例においては、不動産事業を営んでいるメリットを活かし、間取り図による個数の見積りを実施している。間取り図を活用できる組織は限られるが、可能な場合は、個数の見積りにおいて非常に有効な手段である。

工夫点④:希望者への取付支援
●実施内容
 希望がある場合は、住警器の共同購入を取りまとめている不動産業者が、取付支援までを実施した。
●ポイント
 住警器は、設置が必要な箇所が決められており、かつ、比較的高所につけなければならない等の背景から、共同購入・配布後に設置されず放置されてしまうといった懸念がある。そのため、この事例のように設置までをフォローすることは、重要な取組である。

工夫点⑤:賃料からのスムーズな購入代金集金
●実施内容
 住警器の購入代金については、賃貸物件オーナーから賃料の集金業務を委託されている不動産業者が、集金した賃料から差し引く方法により回収した。
●ポイント
 住警器の共同購入においては全体の購入額が比較的高額になることから、集金上の工夫・注意も必要になる。この事例においては、必要設置個数の調査と同様、不動産事業を営んでいるメリットを活かした回収を行っている。こうした枠組みを活用できる団体は限られるが、実施可能であれば、非常に効率的な手法である。

工夫点⑥:住警器の設置済シールの配布
●実施内容
 住警器を設置した賃貸住宅においては、住警器設置済シールの配布・貼付を行った。
●ポイント
 住警器普及における課題のひとつに、不適切な訪問販売の被害に遭うケースがあることが挙げられる。設置済シールは、このような被害低減に対して効果がある。
 また、この事例では、「賃貸住宅の価値向上」といったメリットも踏まえて設置済シールを積極的に活用している。賃貸住宅オーナーにとっては投資を行って住警器を設置しているため、その結果が見た目にも分かりやすく示されることにより、取組意欲向上につながっている。


(4)その他のポイント等 (5)活動において作成された資料等
   この事例においては、「不動産業者」「賃貸物件オーナー」「借主」の3者が、以下の流れで関わっている。

間取り図の活用サンプル

 次回は、複数の町会・自治会が連携するには時間や労力が必要となるが、より多数の活動が可能となるメリットを活かした「30以上の町会・自治会が参加した共同購入の取組(取組主体:葛西地区自治会連合会)」を紹介します。
 なお、本ノウハウ集は消防庁ホームページ(住宅防火情報)でもご覧いただけますので、参考としてください。
〈リンク先〉http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei.html

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