⽚⼭⻁之助会⻑
平成21年の新春を迎えるに当たり、全国の消防関係者の皆様に謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。皆様方には、昼夜を問わず消防防災活動に御尽力いただいており、心から敬意を表し、深く感謝申し上げます。
我が国の消防は、自治体消防として発足以来60年が経過し、ひとつの区切りを迎えました。この間、制度、体制、技術等各般にわたり着実な発展を遂げ、国民の安心・安全の確保に大きな役割を果たしてまいりました。
しかし、社会経済情勢の変化とこれに伴う地域社会の変化により、災害の態様も複雑多様化し、消防防災行政を取り巻く状況は大きく変化してきております。新型インフルエンザなどの新しい感染症の発生の危機、個室ビデオ店などの新しい使用形態を一因とする火災被害の発生など、これまででは考えられなかった危機や災害の発生に備えなければなりません。また、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震等の切迫性が指摘されており、さらに日本各地に活断層の存在が確認され、全国どこでも大規模地震が発生する可能性を有しています。加えて消防ホースの検定に対する、信頼を揺るがす事案も発覚しました。
これら新たな危機や大規模災害の発生にも揺るぐことのない社会を構築し、国民の安心・安全を維持向上させていくためには、行政がその役割を十全に果たさねばならないことはもちろん、住民と一体となって地域の総合的な防災力の強化を図り、全国的、広域的な見地から消防防災・危機管理体制を充実していく必要があります。
このため消防庁では、消防団の新戦力として被雇用者や学生の入団促進への働きかけなど、地域の防災力の要となる消防団の充実強化を図るとともに、自主防災組織など、地域の様々な団体との連携を推進することにより、地域における総合的な防災力の強化に取り組んでまいります。
また、大規模な災害の発生時に、迅速な応援活動を可能とするための資器材の整備、消防の広域化実現に向けた取り組みなど、危機管理体制の充実を図るための方策や、検定制度の信頼の確保についても取り組んでまいります。
さらに、住宅用火災警報器の設置促進などの住宅防火対策、小規模でも発災すれば被害が大きくなるような施設に対する規制の強化、違反是正の徹底など、身近な生活における安心・安全の確保に取り組むとともに、救急患者の医療機関による円滑な受入を推進するなど、消防と医療の連携による救急救命体制の充実について取り組んでまいります。
皆様方におかれましては、我が国の消防の更なる発展と、国民が安心して暮らせる安全な地域づくりのために、より一層の御支援と御協力をいただきますようお願い申し上げます。
皆様方のますますの御健勝と御発展を祈念いたしまして、年頭のごあいさつとさせていただきます。